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第5回建築レビュー



第5回となる研究室会議

発表者欠席のため建築レビュー本題は中止、前回の補足が行われた。卒業研究発表は3題、修士研究発表は1題であった。


―建築レビュー#4.5「Future Architecture+」/発表者:亀井(M1)―

第四回建築レビューの補足としてM1亀井が発表した。

発表内容は遺跡のリノベーション事例として有名なピーター・ズントーの「Art Museum Kolumba(2007)」、そして前回の「Temple of Diana(2011)」の補足であった。


「遺跡のリノベーション」

2つの作品は共通して遺跡のリノベーション作品であるが遺跡を構造の一部に取り込んだか否かが大きな違いがある。「Art Museum Kolumba」は遺跡を構造の一部に取り込んだ作品である。遺跡の上に同系色のグレーのレンガブロックを、隙間を開けて積層させたこの建築は素材を熟知したズントーならではの傑作であり、その外観には変な真新しさはない。遺跡の保存・展示に気を配りつつもすっかり新しい建築として成立している。

一方「Temple of Diana」は遺跡を中心としてコの字型に囲った形状をとった作品である。1階をピロティとしたこの作品は前者とは違い都市の中に遺跡が解放されている。元ある路地から直接アクセスでき、住民たちのパスとして利用されることを意図している。都市の中の遺跡の保存と街のオープンスペースとしての2つの機能を兼ね揃えた建築である。


「光の演出」

2つの作品は共に光の演出にも気遣っている。「Art Museum Kolumba」ではレンガブロックの隙間から指す細かい光が遺跡に当たり、幻想的な空間を演出している。

「Temple of Diana」では1階ピロティをより快適なパスとするために光庭を設けている。直接遺跡の演出をしているわけではないが、広場という用途を考えると適切な演出であろう。


近代では様々な遺跡の保存が行われているが、ただ綺麗にガラスケースに入れるような保存ではなく、この2作品のように新しい建築の一部として活用していくことで、過去の建築が未来の建築へと昇華するのではないだろうか。


「研究」

卒業研究の発表者は奥富・石本・山井の3人、発表者も徐々に増えてきて本格的に卒業研究が始まったように思えた。発表の中では特に山井(4年)は初回からの続きであったため議論が深いものになったと思う。

山井の監獄・刑務所の調査結果を受け山中は実際の建築のみならず五十嵐太郎の過防備都市やミシェル・フーコーの監獄の誕生を読むように提言。建築に限らず広く情報を取り入れることを推奨したことが印象的であった。


修士研究は酒井(M2)による「交通と建築」を背景とした地方都市駅再生の研究発表であった。

今後の駅のあり方や現在の駅の問題点などについて、山中を筆頭に4年からM2まで多くの人間が議論に参加できたことで有意義な時間になっていた。

研究発表を通して、研究の切り口の具体性や問題意識の新しさなど研究における肝を再確認する回であった。


今回で第5回目の研究室会議、新方針への反省と軌道修正が最後の議題であり、研究発表者の少なさが懸念された。質問など議論への参加が増えたことは良い点だが、今後は様々なテーマについて議論できる会議となることを期待する。



亀井



【参照資料出典元】

  1. 1."Archidaily” http://www.archdaily.com/

2."a+u 451 08:02”/株式会社エー・アンド・ユー







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Temple of Diana 俯瞰/アクソメ

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