Shintaro Yamanaka Laboratory
review
第6回建築レビュー
タイフェスも終わり、5月の中旬の研究室会議となった。そろそろ卒業研究のテーマが決まってきて欲しい時期である。今回は建築レビューと卒業研究1題の発表が行われた。
―建築レビュー#5「デイヴィット・アジャイの建築 vol.1」/発表者:山(M2)―
第五回建築レビューはM2山が発表した。
デイヴィット・アジャイはアフリカ、タンザニア生まれで現在ではイギリスを拠点に活動している建築家である。今回はvol.1として、ロンドンにある住宅二作品と公共建築二作品の四作品の発表となった。
まず住宅二作品の一つ「エレクトラ・ハウス」(1998)は建物の内外を絶縁するファサードを持っている。イギリスのまちを形成しているブリティッシュな装飾性に対するアンチデーゼとも受け取れる。内部には自然光を地下まで引き入れる吹き抜けがあり、既存の壁を外壁として利用している。一方の「ダーティ・ハウス」(2001)はスタジオやオフィスも兼ねた住宅である。既存の築100年の木工所の架構を利用しながら、仕事と生活空間が上手く分割されている。1、2階はオフィスとスタジオがあり、スタジオは天井高が5.5mと高い。3階の住居部分にはテラスまで特調的な屋根がはり出している。
公共建築の一つ目「ステファン・ローレンス・センター」(2004)は建築の専門学校である。住宅作品とはボリュームの形の取り方が異なり、三角形と台形のボリュームがブリッジで繋がれている。周辺のコンテクストを読み込んだ形であると考えられる。「アイディア・ストア・ホワイトチャペル」(2001)にも同じことが言える。印象的なファサードは敷地周辺の露店のシートのパターンがモチーフになっている。周辺の露店のアクティビティを縦に積み重ねたような建物である。
「共通する建築のルール」
アジャイの建築はプログラムは異なっても、空間を構成する要素は似ていることが読み取れた。
屋根のはり出し、街の景観をのぞむように配置されているテラス、エントランスホールの天井高、トップライトの取り方などこの四作品からでも見て取れる共通のルールが分かった。アフリカの伝統工芸品をモチーフとして多用している点もアジャイの建築に見られる共通の特徴である。
最後に山中からは「建築のもつ二面性がどの作品にも見られる。」という言葉があった。アジャイの作品にあるファサードと内部空間の不一致や装飾の新しい可能性についての分析が述べられ、学生側は熱心に聞き入った。Vol.2が楽しみになる良い建築レビューとなったと思う。
さて、4年生の研究発表だがほぼ全員に共通して進捗が思わしくない。
本年度から研究室会議や卒業研究の方針を転換し、より自主性が重んじられるようになった。しかし、まだ初回の発表から一歩も進んでいない人が多いように思う。4年生はもちろん、私を含め先輩の側もきちんと自身にも周りにも厳しくするよう先生側からの苦言を受けた。
きちんと反省し、今後の研究室会議がもっと有意義になるようにしていきたいと思う。
長島
【参照資料出典元】
1."a+u 01:07” /株式会社エー・アンド・ユー
2."a+u 03:10” /株式会社エー・アンド・ユー
3."DAVID ADJAYE OUTPUT”/TOTO出版
4.”MIMOA”/http://www.mimoa.eu/
5.”SIMON KENNEDY”
/http://www.simonkennedy.net/blog/
6.”DANDA”/http://www.danda.be/home/
アイディア・ストア・ホワイトチャペル
外観/内観
ステファン・ローレンス・センター
外観/内観
ダーティ・ハウス 外観
エレクトラ・ハウス 外観