Shintaro Yamanaka Laboratory
review
第4回建築レビュー
4回目となった研究室会議。
4年生から質問も出るようになってきて、研究室に一体感を感じるようになった。難しい質問でなくても良いので、この調子で気になった所はどんどん質問をしてきて欲しい。そして、今回の建築レビューは、今年度初めての修士2回生の登場。内容の濃い発表が行われた。
ー建築レビュー#4「Church」/発表者:亀井(M2)ー
テーマはChurchでその中でもParish Churchについて取り上げた。日本語訳は教区センター。教会としての機能以外に彫刻家の作品やミーティングルームなどその地域にあったプログラムを取り込んでいるのが特徴。
特にParish Churchの礼拝空間の光の取り込み手法について3作品についてプレゼンテーションが行われた。
ロンシャンを彷彿とさせる光の壁
「Parish Church of Santa Monica in Rivas-Vaciamandrid(2002-2008)」
スペインの住宅街に位置する。礼拝堂への光の取り込み手法はすり鉢状の筒を突出し、内部へ光が拡散される。すり鉢状の筒の形態を操作することによって様々な濃淡の光を取り込む。この操作で礼拝堂の神秘性を高めている。一方、小礼拝堂はスリット状の窓を採用し、落ち着いた雰囲気となっている。
音色を取り込む光の塔
「Parish Church of Solace in Cordoba」
上記と同じくスペインにある。矩形の平面でミーティングルームを持ち、地下には小礼拝堂を持つ。コミュニティーセンターとしての機能が強く出ている。礼拝堂は鐘楼塔と空間的につながり、鐘楼塔からの光が祭壇に拡散されて降り注ぐとともに、鐘の音が礼拝堂内部にも伝わる。光と音を柔らかく取り込むために天井は緩やかなカーブを描いている。
光のボックス
「Parish Church in Ponferrada」
これは教区センターというよりも教会としての機能がより強くなっている。礼拝堂は中心の祭壇に司祭がたち、それを取り囲む形で席が並ぶ。フラットな屋根に光を取り込む数個のボックスがそれぞれ側面に一個所だけ光を取り込む窓を設け、様々な方角に立つ。そこで取り入れられた光は礼拝堂へ拡散光として降り注ぎ、時刻によって様々な表情を見せる
設計の条件設定
これら3つの建築の特徴はいずれも光を如何に装飾して建築に取り込むかであった。神秘的な空間を必要とされる教会ならではの操作であるが、卒業設計や修士設計に十分に生かせる手法である。これらは設計の条件を設定する際に有効であり、設計の条件をフラットに見ている限り、設計は始まらない。何かに・どこにフォーカスを当てるかが設計開始のゴングである。山中の発破とアドバイスで一つ一つ、自分に足りないものを確認する作業は続く。
ー修士研究ー
三題の修士研究の発表。テーマも徐々に決まり、議論も熱を帯びてきた。しかし、一方でテーマ設定に苦しむ人も。研究が進み、調査が始まっている人も。その中で着実に社会問題や大学の教育問題に取り組んでいる。
ー卒業研究ー
6題の卒業研究の発表。テーマが幅広という研究室の特徴が出ていた。アニメ、均質化、内と外の境界、etc。議論の幅が広く、知識を持ち合わせていないとついていけない。特にアニメの研究は独創的で独走的でもある。一方で、内と外の境界というブラックホールに挑戦する人もいる。
欠席者が散見された。研究が思い通りに進まないことに対して苦しんだ結果と思いたい。しかし、その苦しみを持ってくることの方が重要で共有すれば楽になる。
今後、この会議が様々なテーマによって各々の知見が広まる絶好の場として機能することを願いたい。
山井
【参照資料出典元】
1.Arch daily
2.Architecture News Plus
3.a+u 2011年12月号/新建築社
Parish Church of SantaMonica
in Rivas-Vaciamandrid
外観/内観/長手断面図
Parish Church of Solace
in Cordoba
外観/内観/長手断面図
Parish Church in Ponferrada
外観/内観/長手断面図