Shintaro Yamanaka Laboratory
review
第7回建築レビュー
今回で6回目をむかえる研究室会議。建築レビューや卒業研究、修士研究の発表が行われた他、夏のゼミ合宿やOBOG会について話し合いが行われた。
ー建築レビュー#7「住空間と外部」
/発表者:中野(M1)ー
近藤哲雄は妹島和世建築設計事務所、SANNAを経て2006年に近藤哲雄建築設計事務所を設立した若手建築家である。住宅作品を中心に、「A Path in the forest」や「field chair」のように、アートを含めて広く活動している。今回はその中から、住空間における外部に対して提案している住宅2作品のプレゼンテーションが行われた。
―House in Chayagasaka―
愛知県名古屋市に建てられた若い夫婦と小さな子供二人のための専用住宅である。共働きの夫婦であるため、家族が集まったときに空間を一体的に共有できる住宅を目指した。
各部屋の間に外部空間を挿入した平面形であり、それぞれが視覚的・空間的に一体的につながっている。外部から差し込む光、ふとした時にみえる植栽の緑、子供たちのアクティビティが、住まいという家族の共有空間のなかで重なってみえる。
―House with Gardens―
横浜市内に建てられた夫婦と子供二人のための専用住宅である。敷地は丘の上の閑静な住宅地にあり、近隣には林が広がる。心地よい風が吹き、小鳥の声が聞こえる魅力的な外部空間を取り込みながら要求室を配置している。すべての部屋から庭に出ることができ、部屋越しにも空や林が感じられるように開口を配している。
―住宅というフィルター―
紹介された2つの住宅は、部屋と外部空間の配置関係、開口の位置、住民の生活を巧みに関係付けて住空間を組み上げている。それらを構築している建築は、外部から住空間を確立する住宅としての要求を満たしながらも、外部を内部から体験するための仕掛けとして存在するようである。また内部の住民のアクティビティは、その外部をとおして地域に表れる。住宅というフィルターをとおすことでそれぞれに意味が付加され、その空間をみる人、体験する人に働きかけるのではないだろうか。その仕組みを考えるのは設計者の役割の一つであり、私たちにとって重要なテーマであると思う。しかし山中がアドバイスしたように、建築レビューでは興味の対象を限定せずに、自分の可能性を広げるようなテーマを取り上げていきたい。
―卒業研究―
それぞれがテーマを絞り、徐々に研究の方向性がみえてきた。同時に、それぞれの問題点も明らかになってきている。卒業設計に移行する者は中間発表日、通年で卒業論文に取り組む者は最終発表日に標準を合わせてスケジュールを組むことを意識してほしい。また欠席者が増えていることが気になる。追い込みの時期に欠席すると全体から取り残されてしまうので、互いにフォローし合いながら研究に取り組んでほしい。
―修士研究―
第一回修士設計中間発表に向けてそれぞれが方向性を定めて発表した。7月20日の中間発表前にもう一度研究室会議を行うが、残り期間を考えると今回の議論をもとに発表内容を固めていくことになる。そのためいつも以上に深く話し合うことができたと思う。
田中
【参照資料出典元】
1.住宅特集2007年7月号/新建築社
2.住宅特集2013年2月号/新建築社
House in Chayagasaka
内観1/内観2/平面図
House with Gardens
外観/内観/断面図