about usschedulereview  | workscontactaccessofficelink

review


第8回建築レビュー



8回目の本研究室会議では、卒業研究や修士研究のテーマが決定し、各人の研究の方向性が見えてきた。研究室全体としては、ゼミ旅行を控え今後の山中研究室としての活動の確認などがなされた。



ー建築レビュー#8「Sean Godsell」/発表者:朝倉(M2)ー

今回の建築レビューでは、メルボルン生まれの建築家Sean Godsellの建築がとり上げられた。彼の建築の多くは、オーストラリアに存在する。広大な自然と対峙しつつも一体化したような作品が特徴。それらの作品の中からビーチ沿いに建てられた自然に囲まれたものと市街地に建てられたものの2作品を題材に討論がなされた。


○包まれた建築

彼の建築の大きな特徴は、一枚の表皮を持っている点である。例外はあるものの、彼の大半の作品は単純な幾何学形のフレームの周囲に透過性のある表層を持っている。その際、彼が外装材に選んでいる素材は周囲の色調に馴染むものである。なぜ単純な形態なのかという点では、「単一の外装材を使用する際には、凹凸のないシンプルな形態の方がその素材感が強調されるからではないだろうか」という考察がなされた。更に、このような形態にすることで外装がグラデーションのように変化しても建築そのものは整然と建っているように見える。彼は外壁の見え方、システムの内包の仕方に関心があるようだ。


○自然環境への畏怖と尊敬

「St Andrews Beach House」

オーストラリアのセントアンドリュースビーチ沿いに位置する住宅。彼の他の作品にも多く見られる酸化鋼フロアグレーチングをまとった建築である。フレームの周辺にグレーチングを被せる事で窓とも壁とも言いがたい面を創出している。視点によって透過して見えたり見えなかったりと建築の表情が変化する。平面プランを見るとわかるように、キッチンやリビングの共有部分と、寝室のある個室部分がクロスしている。更に、移動をする際には必ず一度廊下に出なければならない。あえて夏の暑さと冬の極端にさらされるように配することで自然を身近なものとして強調している。


○将来を見据えたデザイン

「RIMIT Design Hub」

メルボルンに建設されたロイヤルメルボルン工科大学の研究施設。表面がサンドブラストガラスディスクで覆われている。このガラスのディスクはフィックスされているものと可動式のものがある。可動式の部分は太陽光に合わせて動き室内に取り込む光を調節することが出来る。更に、このパネルは取り外しが出来るようになっている。そのため、2013年の現時点ではガラスディスクがはめ込まれているが、将来ソーラーパネルの技術が発達した際や、技術革新が起こった際に別の素材のパネルをはめることが出来る。始めから交換する事を前提にしているため、パネルの取り外しのしやすい寸法と形を採用している徹底ぶりである。研究施設だからこそ技術革新を期待する、将来を見据えたデザインにしたのだろう。


—修士研究—

研究目的や背景が決定し、敷地の分析などが進んできた。次のステップとして、デザインソースとなるようなダイアグラムや具体的な設計敷地の選定が必要となってくる。修士研究では内容が難しく下級生、特に4年生は質問しにくいと思う。しかし、わからない事や素朴な疑問は積極的に質問してゆく必要がある。


—卒業研究—

テーマが決定してゆく中、どう研究を進めて良いのかわからず手が止まっている人が目立つ。今まで以上に上級生が日常的に声をかけたり論文に目を通し添削したりした方が良い。また、去年の先輩方がしてくださったように、M1が主体となり、4年生がもっと発言をしやすい環境づくりをしてゆきたい。




中野



【参照資料出典元】

1.sga:sean godsell architecture

http://www.seangodsell.com/

2.archidaily

3.a+u 2007年8月号/新建築社





back | review | next

RMIT design hub

外観/外皮/北側立面図

St.Andrews house

外観/外皮/2F平面図

back  next