Shintaro Yamanaka Laboratory
review
第1回建築レビュー
2014年、新体制の下で研究室会議がスタートした。留学生・新研究室メンバーとともに、活発なディスカッションを求めて車座で行った。他研究室の院生も聴講に来ており、研究室のグローバル化とともに様々な意見を聞ける会議となるかもしれない。
ー建築レビュー#1「Alvaro Siza」/発表者:奥富(M2)ー
第一回建築レビューはシザのイベレ・カマルゴ美術館とミメシス美術館の2作品である。ポルトガルに生まれ、ポルトを拠点に活動するポルトガルを代表する建築家である。プリツカー賞や高松宮殿下記念世界文化賞など受賞歴も多数。
■イベレ・カマルゴ美術館
2008年にブラジルのポルト・アレグレにて竣工した。川に面して風景を抱き込むようにスロープが展示室から伸びる。スロープを通って各階の展示室にアプローチする。偶に空いている窓からは川面や青を望むことができる。ブラジルの日差しが強い気候に対してもスロープが有効に機能するという。
■ミメシス美術館
韓国のパジュブックシティに2009年竣工。猫の手を表現した形態と言われている。建築はバックヤードを軸として展示室が二股に分かれている。その内部は天板の形状や高さを操作するっことによって外観からは予想できない内部空間となっている。現状では正規エントランスではないカフェ部分から観覧者が訪れてしまい、シザが意図したシークエンスが機能していないのが残念ではある。
―Alvaro Sizaの3つの特徴―
1,シークエンス
2,限定された素材
3,二つの幾何学
シザが最も重要視するものがシークエンスである。カルマゴ美術館やミメシス美術館の両美術館に共通する。一つの静止画ではなく、内部の人が移動しているときに体感できるようにしている。さらに建築を構成する素材はコンクリート、フローリング、大理石の3素材を用い、直線と曲線の二つの幾何学を用いることでシークエンスの豊かさを表現し、偶発的に求めている可能性すらある。これらの3つによって空間要素がそのまま表現できるとの講評であった。
―修士研究・設計―
今年から3名の修士研究、設計2名で動き出した。まだ、足元が固まっていない人もいるが、今後1年間楽しいと思えるテーマ、研究・設計ができるよう努力が必要だ。計5名の修士は今まで以上に大変な会議と時間を要するが、じっくり結果を残せるものをやっていきたい。
山井
【参照資料出典元】
1.a+u 2010年3月号/新建築社
2.Alvaro Siza Modern Redux
3.archdaily
http://www.archdaily.com/2769/fundacion-ibere-camargo-in-porto-alegre-brazil-alvaro-siza/
ミメシス美術館
外観/内観/1F平面図
イベレ・カマルゴ美術館
外観/内観/長手断面図