Shintaro Yamanaka Laboratory
review
第2回建築レビュー
新たな4年生を迎えた新体制の研究室会議は今回で3回目となった。大学院生も含め、車座で行なう研究室会議に慣れてきたこともあり、一体感のある研究室会議が行われるようになってきている。それぞれが研究の方向を定めつつあることも含め、今後の研究室会議の動向が楽しみである。
ー建築レビュー#2「KIM YOUNG-SUB Architect」/発表者:ジョ(M1)ー
第2回建築レビューは「Sundoori Choi’s Residence」、「CHEONGYANG Catholic Church Retreat Center」の2作品である。KIM YOUNG-SUBは教会建築を多く設計し、「2000 5th Catholic Church Arts Award」などの受賞歴がある。
■Sundoori Choi’s Residence
ソウル郊外の週末住宅である。背面は山林、前面には海を望む立地に建つ。1階はピロティ、2階は緩く弧を描く白いボリュームが左右にひろがり、背面の緑に浮かびあがる。中央部の構造コアを楕円形とすることで、2階部分に浮遊感を与えている。2階はチューブ構造を採用しているため柱が室内にあらわれず、横方向への抜けに干渉しない。チューブの端部からは緑が眺められ、チューブの軸方向に沿った奥行きをもたらしている。一方中央部の居間は、チューブの軸に直行するように山林と海に向けて全面開口となっている。異なる方向性を居間に導入することで、軸方向の構成に歪みを与える。皆が集う空間として認識させる仕掛けではないだろうか。
■CHEONGYANG Catholic Church Retreat Center
カトリック聖堂の増設計画である。計画前から小さい教会があるが、カトリック教徒の墓を訪れる大勢の人に対応するために計画された。外観は扇型の大きな屋根が特徴であり、周囲の山林との景観的調和が図られている。屋根の下部はトップサイドライトとなっているため、屋根の構成がより強調される。また、トップサイドライトは方位によって異なる形状とし、入射光に変化を与えている。一方で、この場所一体は参拝経路が定められており、この建築がその経路の一端を担っていることも特徴である。聖堂を利用する動線計画が、一連の参拝経路のなかで計画されている。スタディ模型にその計画の試行錯誤がみられることがおもしろい。
―修士研究―
それぞれが興味のあるテーマを持ち出して研究テーマを模索しているが、まだまだ探求の余地があるといえる。修士研究としてのリアリティと、独自の切り口を両立したテーマを研究していきたい。今はそのために大切な時期であるので、幅広く意見を聞きながら臨む柔軟な姿勢が必要ではないだろうか。
田中
【参照資料出典元】
1.KIM YOUNG-SUB Architect Associates
CHEONGYANG Catholic
Church Retreat Center
外観/内観/1F平面図/長手断面図
Sundoori Choi’s Residence
外観/内観/2F平面図