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第5回建築レビュー



2014年度、真夏の暑さが続いている今ころ、研究室の雰囲気も熱くなっているようだ。院生みんなは自分の研究と一緒に9月学会の発表やゼミ旅行の準備、さらに研究室で行っている各プロジェクトにも参加し、夏休み中にもかかわらず山中研はなかなか忙しい。


ー建築レビュー#5「 WANG SHU」/発表者:山井ー

今回建築レビューは中国人建築家「WANG SHU」の作品「ニンポー博物館」、「Ningbo Tengtou Pavilion」、そして「Hangzhou 大学キャンパス」三つである。


王澍は2012年にプリツカー賞を受賞した。48歳という過去の受賞者でも4番目の若さの受賞でもあった。過去の受賞者であるザハ・ハディドや合衆国最高裁判所判事スティーブン・ブレイヤーなどからなる審査員は、王澍の「歴史に直接言及することなく過去を喚起するというユニークな能力」を強調し、その作品を「時間を超越し、その文脈に深く根ざし、それでいて普遍的」と呼ぶ。賞を主催するハイアット財団の議長は、王澍の受賞は「中国が、建築の理想の発展において演ずる役割を知らせる上で重要な一歩となる」ものだと述べている[11]。香港の建築史家で建築批評家の朱涛(Zhu Tao)は、この受賞は中国の建築史のターニングポイントとなる出来事であり、中国の社会や建築界に対して、建築は文化的事業であり、建築家が文化の創造者であるというメッセージを送ったと述べている。


◯ニンポー博物館

モダニティと地域性

国際コンペで当選したもので、現代建築を通じて地域の特性を上手く表現していると思われる。建築物は、大きなメースから一部を掘り出してから作られたか、あるいはいくつかのメースが集まって作られた峡谷のような感じを伝えている。このような形は、初期のスケッチでもよく現れている。

建築のプログラムや形態的な部分は、西欧モダニティ建築の形式に従っているが、昔の住宅で使われた煉瓦を活用して外部の面を表現したり、地域的な特徴が目立つようにデザインされている。

だが、枝葉的な方法で再現された地域性ではなく、現在の時点で再解釈された地域性を表現している。それは実際に建物を構築している、現代の建築手法を備えて示していることからもっと明確に見える。そして、このように再解釈された地域の特徴的な要素が西欧モダニティ的な表現と現代的な感覚によって絶妙に調和を成している。だからこそ、単に伝統的な要素を借用した建築物とははっきり区分できる地域性を示すと思う。


◯Ningbo Tengtou Pavilion

伝統建築の再現

伝統的な要素を現代の視点で再解釈する方法に関して、伝統に接近する新たな可能性を実験した作品だと思われる。まず既存地域の伝統的な村の住宅様式を調査して、それからいくつかの住宅の断面を再配列した後、羅列された断面を貫通する移動空間を置いていることによって建物を構築している。

このような方法として、どんどん無くなっている地域伝統住宅のことを立体的及び圧縮的に示すことができる。なので、この建物は伝統を再現する装置として動作していると思う。

更にここでもまた、王澍の現代的な造形感覚による地域的な素材の適切な調和が見られ、これは、地域の伝統性と和解を模索している西欧モダニティの姿であると思う。


◯Hangzhou 大学キャンパス

伝統的観念の受容

この建物は大学という近代的教育制度を盛り込む施設が、近代以前からの伝統的な観念をどのように含めるべきかに関しての問いに答えている。

団地規模の大学全体を設計した王澍は斜面に位置する新しい大学の建物の設計に対して、団地内の他の建物と、また別の形の建物を計画することにより、それぞれ違い形の建物がどのように調和を成すかについて工夫したと思う。

果たしてここでそれぞれ違う大学の建物から調和を編み出しているのは、中国伝統の観念だと考えられる。大学団地の中心部を空けることによって、その周りに配置された各建物には、建物からの視線を中心部に向かって集中させるような方式をとっている。

特に建物の背面になっている部分から外部に突出した通路を長く配置したのは、建物それぞれの個別的違いから全体団地の統一性を実現するために意図された建築的手法であると思う。



ー卒業研究ー

研究室の4年生はみんなもう進路が決まった。来年から院生として 一緒に研究室で研究をするM0になり、他には大学卒業の後からまっすぐ社会に出て自分の役割を遂行することで就職が決まった人もいる。しかし、進路が早めに決定されたものと比べて、4年生の中には卒業研究がなかなか前進していない学生がいるので、先生や先輩たちも心配にしている。そして、今からすぐには卒業研究の中間発表があり、これからは選択と集中が必要な時期だと思う。


ー修士研究ー

授業はないけれど、ほぼ毎日研究室に出席して自分の研究を進めたり、研究室プロジェクトに参加したりしながら忙しい時間を過ごしている。論文を書く方も設計を行う方も、皆もうテーマは決まった。今はそれぞれの段階が違うけど、最後の目標は一緒なので一生懸命に走っている。短い夏休みだからこそより長く過ごせる知恵が必要である。





                     JO JAEHYUK


【参照資料出典元】

1.GA DOCUMENT 今日中国 112

2.GA DOCUMENT 125

3.GA DOCUMENT 131

 



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      Ningbo Tengtou Pavilion           

         中庭/外観/断面図

             ニンポー博物館           

   外観/屋上/内観/配置図/立断図