Shintaro Yamanaka Laboratory
review
第2回建築レビュー
例年度とは違ってゼミ旅行が今月の末にあるせいか、夏休みが終わって今年度の後半が始まっているこの頃だが、研究室の雰囲気はまだ前半が続いているようだ。だとしても、M2は修士中間発表の準備で、M1は研究室のプロジェクトなどで、そして4年生は卒論などでなかなか忙しい。
― 建築レビュー#2「FRANK O.GEHRY」/ 発表者:田中(M1) ―
今回の建築レビューでは、世界的な建築家であるフランク・ゲーリーの初期作品から最新作の「ルイヴィトン財団美術館」まで網羅的に辿る。
○建築手法(シングルルーム)
ゲーリーの設計手法のひとつとして、1950年ころ建築家フィリップ・ジョンソンによって提唱されたシングルルームという概念が挙げられる。
これは建築を従来の建築を構成する諸室を空間の要素として分解して、それを見合った形態を想像しながら再構成するという概念である。
シングルルームという概念によると、各室において快適かつ目的に見合った、機能的かつ合理的な空間が作られると言われている。
このようなシングルルームの概念が反映されている建物の例としては、ワイズマン美術館、シュナーベルハウス、そしてルイヴィトン財団美術館などが挙げられる。これらは皆、内部の機能である展示室や居室の空間性を考慮して形成されたと考えられる。しかし、これらの建物を形成していくに当たって、もう一つ鍵になる要素は、建物の外部である周辺環境に対応する仕組みであると考えられる。
○ルイヴィトン財団美術館(Fondation Louis Vuitton)
ゲーリー最近作の一つで、2014年にパリ近郊に建設された「ルイヴィトン財団美術館」は、ゲーリーにより、ゲーリーのため、ゲーリーだからこそ可能だった建物に間違いないだろう。
自由な形のファサードを構成する不規則なカーテンウォールパターンは、現代の巨匠建築家の一人であるゲーリーと世界的な高級パッションブランドであるルイヴィトン財団のコラボだからこそ実体化されたをデザインだと思う。
ゲーリーという巨匠建築家に憲政されたものとも言える、ファサードのディテールは、今後も、非定型建物の現場ではかなり有名になるだろう。
しかし、世界的な建築家からの美しいファサードの内には、皮肉なことに、単純な長方形のボックスが入っている。こういう部分でルイヴィトン美術館は、ゲーリーを世界的スター建築家として背伸びさせたあの有名なグッゲンハイム美術館の設計手法とは方向線が異なっていると考えられる。
この観点が、この建物を「ゲーリーへの憲政」だと評価した理由である。あるいは、これがルイヴィトンの「ゲーリーへの配慮」なのか、若しくはその逆かもしれないが。
とにかく、パリ近郊の静かな森の中に、ゲーリーかつルイヴィトンによって、自然の形状を模倣した、巨大で美しい建物が建てられている。美術館というホワイトキューブが花びらのようなカーテンウォールで幾重にも包まれた建物だと思うのだ。
― 卒業研究 ―
研究室の4年生はほとんど進路が決まった。来年から院生として 一緒に研究室で研究をするM0になり、又は卒業したら社会に出て自分の役割を行う、就職が決まった人もいる。しかし、まだ進路が決まっていない生徒や、卒業研究がなかなかすすんでいない生徒がいるので、先生や先輩たちも心配にしている。さらに、もうすぐには卒業研究の中間発表などがあるため、これからは選択と集中が必要だと思う。
― 修士研究 ―
授業はないけれど、ほぼ毎日院生室に出席して自分の研究に集中しながら忙しい時間を過ごしている。修論の私も修設の外山も、もうテーマは決まった。中間発表ではそれぞれの段階が違うけれど、最後の目標は一緒なので一生懸命に走っている。残り半年をより長く過ごせる知恵が求められる。
JO JAEHYUK
【参照資料出典元】
1.GA DOCUMENT130 FRANK O.GEHRY
2.CONNAISSANCE DES ARTS FOUNDATION LOIUS VUITTON
3.FRANK GEHRY FOUNDATION LOIUS VUITTON
ゲーリー自邸(1978)
アメリカ、カリフォルニア州
外観
シュナーベルハウス(1989)
アメリカ、カリフォルニア州
ブレントウード
外観
ルイヴィトン財団美術館(2014)
フランス、パリ
外観/断面/平面/遠景