Livsrum - Cancer Counseling Center (2014)

Lemvig, Denmark

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第1回建築レビュー



2016年度山中研究室は、G4:12人、M1:5人、M2:5人、研究生:1人の総勢23名という過去最も多い人数の新体制で行っていく。プロジェクト自体も多く予定されており、少しずつ担当者も忙しくなってきた。車座で行われる研究室会議も大きな円となり、迫力も増しつつ相も変わらず楽しい雰囲気である。会議も長丁場となることが多く、健康状態には十分気を配り、実りのある会議になるようにしてもらいたい。


― 建築レビュー#1「EFFEKT」/ 発表者:前田(M2) ―

第1回建築レビューは、デンマークのコペンハーゲンにある建築事務所EFFEKTである。2007年に設立され、30人足らずの若手スタッフで構成されている。提案のスケールは多種多様で国内及び国際の両方の舞台で活動を展開し、都市の社会構造に組み込まれている環境の統合に優れている。


□LEMVIG SKATEPARK

村内のすべてのユーザーやグループのための多機能レクリエーションの公園の中にスケートパークエリアにオリジナルのアイデアを形質転換した。公園のすべての領域にわたってスケーターのための遊具を用意しランドスケープとして周囲に馴染むようにデザインされている点が、新たな焦点となっている。


□VINGE STATION

自然を組み合わせるために、ビンジの密集した都市部と緑化が、市の中心部でシンプルに象徴的な場所としてレクリエーションや日常生活でのインフラを結んでいる。地域の動きのパターンや地形に基づき、デザインはシンプルで直感的にユーザーが自分の道を見つけて、ステーション内を移動する風景を作っている。


□LIVSRUM-Cancer Counseling Center-

2つの中庭の周りに部屋を連動している。それぞれの家には、ライブラリー、キッチン、談話室、ラウンジ、ワークショップ、ジムなどの機能が含まれる異なる空間で形成している。家庭的なオープン性がビジョンとしてあり、全体的な空間体験におけるヒューマンスケール、豊かさと変化を促進する小さな家を目指している。家の中の連続循環を可能にし、人の動きを想定するように設計されていると思われる。


□GAME STREETMEKKA

放棄された操車場を明確な円形のレイアウトで、新規と既存を接続し再構成している。既存の建物を復元し、歴史的発展としてストリートカルチャーの美学と操車場を当てはめる新しい構成とローテク産業的に再解釈していると思われる。スポーツ施設特有の騒音問題に対して円の形を、外部に閉じ、内部に開くことで利用している。


―デンマーク現代建築の特徴―

「機能的伝統」と呼ばれる一貫した価値観が脈々と受け継がれている。

デンマークの建築においては、「秩序と調和の美が最初に解決されるべき事であり、明快で単純なプランが、複雑であることより優先される」というように通底する美の哲学が根強いようである。

会議では「建築」と「ランドスケープ」の例えとして「将棋」「囲碁」の違いがあるという件が印象的であった。将棋は駒を置くたびに相手の状況がわかりやすく、その対処法を一つ一つ解決していくのが建築的であり、対して囲碁は布石という言葉があるように、石を置いていくことがその周りにどう影響を与えていくのかを想像していく工程がランドスケープに似ているというものである。それはある種の将棋的形式性に対して、段々と関係性を構築するように囲碁的に設計するものとして、EFFEKT は2項対立的なものを軽快に配合している。

LIVSRUMのように家型という強い形式性を持ったエレメントを最初に与え、中は形に左右されない形式性を超えるようにランドスケープ的に構成するところに面白さがあるのではないかと山中は言う。

つまり「機能的伝統」に支配されすぎてきたデンマーク現代建築に対して、ある意味それに抗うデンマーク建築家の思想を若手として担っているようにも思えるのである。



― 卒業研究 ―

 4年生も会議が始まりはや4ヶ月を過ぎるところである。研究というものをしたことがない4年生からすると、中々進めるにかなり大変さが伺える。その中で院生がしっかりサポート出来るように担当を設け、各自に時間帯を作り、積極的に相談に乗るように努めている。特に卒業設計を行う4年生は、研究としての体裁を作るにこの夏が正念場となるため、気を弛まずに励んでもらいたい。



― 修士研究 ―

設計3名、修士研究1名で進んでいる。各自興味のあるテーマから様々にアプローチを考えながら、会議での発表に臨んでいる。まだまだ研究としての体制をしっかり築けていないことが現実であるが、夏にかけて基礎固めをじっくりやっていきたいところである。




                     建石 洋


【参照資料出典元】

1. EFFEKT HP   http://www.effekt.dk/

 



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